Pandora 4

印刷物の色ズレ

印刷用データ

CTPの普及期、版下レス→フィルムレス→中間コストが不要という宣伝が先行した
出力機にデータを放り込めば印刷版が出てくるような誤解を招いた
パソコンのプリンターでワードやエクセルのデータをプリントする延長線上での印刷
そもそもDTP用のアプリでなければCMYKでの分版はできない
「このデータで出力しました」が複数できる要因になるが入稿データのまま出力は稀である
塗足しやトンボ、印刷機に合せて版サイズや絵柄の位置等約束事も多く
その他、画像の色調子や解像度、不具合を処理しなければならない
フィルム刷版より色ズレは改善したものの目立つ場合は手間をかけなければならない

色ズレの原因

DTPの画面上では色ズレは起きない
インクジェットプリンタもワンパスなので色ズレしない
印刷は色分版して刷重ねるため見当ズレ(色ズレ)を起こす

正確に焼き付けられた刷版を前提とすれば
印刷機の精度と用紙の伸縮が主な要因であろう

プリプレスでの見当ズレ予防

DTPはワンマンオペレーションになりがちだ
大方はデザインで背一杯になりプリプレスまでは手が回らない
一般にカラー印刷は難しく単色、2色、3色の特色は簡単というイメージが定着している
単色印刷は別としてDTPアプリはカラー用にできている
プロセス4色印刷では特色インキのような色の境界が発生しにくく網点の掛合せの変化になり 少々の見当ズレは誤魔けてしまう
特色版の見当ズレ対策は
2色、3色では絵柄の勝ち負けを考えて毛抜き部分を少し重ねるトラップ処理をする
カラー印刷では墨文字を のせ処理(オーバープリントブラック)にする
墨罫や墨ベタも のせ処理 が適応される
面積の広い墨ベタは下の絵柄が透けないように叩き出すかリッチブラックにする
墨ベタの境界や白抜き文字など見当ズレで下色がチラチラ覗くのも嫌なのでトラップ処理をする

トラップ処理

オフセット印刷でインキを刷重ねる事をトラッピングという
見当ズレを予想して版を太らせたり喰い込ませる処理をする

単純なトラップを図に示したが、実際の印刷物はもっと複雑だ
通常オブジェクトは上側が下側を叩き出す
トラップ処理はオーバープリントの設定をしないと無意味である
オフセット印刷ではCTPで刷版を出力する
DTPアプリでは色分版せずコンポジット(合成)PSファイルを出力しRIP内部で色分版するIn-RIP処理が普通である
特色は「Divice N」として扱われオーバープリントが無視される場合は透明効果の乗算を代替させる
訂正を考慮した制作をしないとトラップも難しくなる
アピアランスを含め複雑なオブジェクトは下手すると壊してしまう
オーバープリントも錯覚を招くし、全面にシビアな見当が無い場合
少々の見当ズレなら何もしない方がトラブルになるよりは良いだろう
ーーー余談ーーー
一般にネット印刷に発注される場合カラー4色が普通のようだ
ネット印刷業者の印刷機も多色機で精度が良く見当ズレは小さい
トラブルを避けるためオーバープリントを無効にする業者も見受けられる
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トラップは印刷物を汚していく方向にある
やりすぎるとオブジェクトを壊すし、控えすぎると無意味だ
ちょうど良い加減は自己満足でクライアント様に評価されない
なぜなら当然、期待されていた仕上がりだから
印刷物のフィードバックが無い一方通行では効果が分からないままが通常
報われない地味な作業だけれど・・・